有効外交 2016 12 17
柔道の試合では、「有効」という判定があります。
「一本」は、誰でも知っているでしょうが、
「有効」は、柔道が好きな人でないと、わかりにくいでしょう。
ロシアのプーチン大統領の外交も、
「有効」を取りにいく戦略です。
だから、わかりにくいのです。
ロシアは、政治大国で軍事大国だから、
「一本」を取りにいく戦略だと思いがちですが、
意外にも、コツコツと「有効」を稼ぐ外交を繰り返しています。
そういうわけで、「大技」はないのです。
今回の日露首脳会談の結果を見て、
多くの日本人は、がっかりしたと思います。
プーチン氏は、ロシア最強の権力者だから、
日本へ「北方領土」を返還して、
日本の世論を劇的に変化させ、
ロシアを経済的に発展させるという戦略はありません。
ロシア人は、経済大国よりも政治大国を選ぶでしょう。
ただし、こうした戦法がいつまでも有効とは限りません。
政治的にも軍事的にも巨大化する中国の存在を忘れているのです。
やがて、シベリアは、中国によって「食いちぎられる」ことになるでしょう。
一方、欧州方面では、EUやNATOの影響力の東方拡大が続くでしょう。
つまり、ゆっくりとモスクワへ距離を縮めてくることになります。
ロシアの未来は厳しいでしょう。
遠い未来においては、モスクワを中心とする勢力に縮小されるでしょう。
つまり、大昔のロシアに戻るでしょう。
さらに、ロシアに関して留意すべきことは、人口動向です。
もし、人口減少や平均寿命の短縮があるとすると、
ロシアの縮小に拍車がかかるでしょう。
50年のスケールで考えれば、
国家にとって、国民の健康は、極めて重要な要素になってくるのです。
国家が没落する時は、
国民の健康が大きな原因になってくるでしょう。